アンケート概要
目的と調査対象
いわゆる「移住者インタビュー1」なる記事が移住情報を調べると出てきます。
こういった記事になる方々はある種の移住の成功者です。反対に失敗例は掲載側にメリットがないですし、何より「顔出しして失敗でした。」と話す方も少数です。
そこで匿名で「移住の満足度を聞いてみよう」と思ったのがアンケートのきっかけです。
- 南丹市「なんくら」、福知山市「FuKuFuKuLife」、綾部市「移住立国あやべ」、京都府「今日と明日」など ↩︎
調査対象:京都府南丹市に移住した方(年齢、時期を問わず)
回答者数:19人
質問項目
・回答者の属性①:性別、年齢、現在の居住地、
・回答者の属性②:移住してからの年数、移住のタイプ、移住前の居住地
・移住の理由と満足度(コメント付き)
・(おまけ)周囲に「いけず」な方がいるか?(コメント付き)
回答結果のサマリー
・性別、年齢、現在の居住地は適度に分布(大きな偏りなし)
・移住直後(1年未満)は不在。数年を経過した方が回答
・Iターン(京都府外で生まれ育ち、南丹市に移住)が多く、都市部からの移住が半数超え
・移住は「自分の都合」、「住環境の改善」が大きな理由
・移住の満足度は平均4.2と高め
・「いけず」な方の存在は平均3.7と一定程度の存在を感じることを示唆
回答結果の詳細
性別

項目 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
男性 | 11 | 57.9% |
女性 | 8 | 42.1% |
その他 | 0 | 0.0% |
回答しない | 0 | 0.0% |
合計 | 19 | 100.0% |
年齢

項目 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
学生 | 0 | 0.0% |
20歳代(学生を除く) | 1 | 5.3% |
30歳代 | 2 | 10.5% |
40歳代 | 8 | 42.1% |
50歳代 | 1 | 5.3% |
60歳代以上 | 7 | 36.8% |
回答しない | 0 | 0.0% |
合計 | 19 | 100.0% |
現在の居住地

項目 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
園部町 | 3 | 15.8% |
日吉町 | 7 | 36.8% |
美山町 | 4 | 21.1% |
八木町 | 5 | 26.3% |
京都府内の市町村(南丹市以外) | 0 | 0.0% |
京都府外 | 0 | 0.0% |
回答しない | 0 | 0.0% |
その他 | 0 | 0.0% |
合計 | 19 | 100.0% |
移住してからの年数

項目 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
1年未満 | 0 | 0.0% |
3年未満 | 4 | 21.1% |
5年未満 | 3 | 15.8% |
10年未満 | 4 | 21.1% |
10年以上 | 8 | 42.1% |
回答しない | 0 | 0.0% |
合計 | 19 | 100.0% |
移住のタイプ

項目 | 人数 | 割合 | 備考 |
---|---|---|---|
Uターン | 2 | 10.5% | 南丹市で生まれ育ち、進学や就職等を機に離れ、再び南丹市に移住 |
Iターン | 12 | 63.2% | 京都府外で生まれ育ち、南丹市に移住 |
Jターン | 4 | 21.1% | 京都府内で生まれ育ち、南丹市に移住 |
配偶者地縁型 | 1 | 5.3% | 配偶者やパートナーの故郷など縁のある地域へ移住 |
他拠点居住型 | 0 | 0.0% | 2拠点居住など、主たる生活拠点が別にある方 |
回答しない | 0 | 0.0% | |
その他 | 0 | 0.0% | |
合計 | 19 | 100.0% |

例えば京都市出身のJターンが多いと思っていたので、Iターン(京都府外の出身者)が多い。というのは個人的に以外でした。
移住前の居住地

項目 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
都市部 | 11 | 57.9% |
郊外 | 4 | 21.1% |
農村部 | 3 | 15.8% |
回答しない | 0 | 0.0% |
その他 | 1 | 5.3% |
合計 | 19 | 100.0% |

厳密な定義をしていないので、「都市部」と言っても人によって受け止め方は変わりますが・・・都会からの移住者(の回答が)が多いです。
移住の理由

項目 | 大きい | やや大きい | 少しはあり | 一切なし | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
自分の都合 | 10 | 3 | 1 | 5 | 入学、就職、転職、創業など |
家族の都合 | 2 | 2 | 5 | 10 | 介護、結婚、子育てなど |
仕事の都合 | 5 | 3 | 4 | 7 | 転勤・出向など |
住環境の改善 | 8 | 5 | 3 | 3 | 自然豊かな場所や生活費の削減など |
健康・福祉 | 1 | 1 | 2 | 15 | 医療や福祉サービスの利用 |
文化・趣味 | 3 | 5 | 3 | 8 | 芸術活動や趣味に適した場所へ移住 |

この設問はどういった項目にするか悩みました。
「自分の都合」に票が集まりましたが、「住環境の改善」や「文化・趣味」に票が集まっているのはそれを受け入れる環境や土壌がある。ということですね。
移住の満足度

項目 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
1(低い) | 1 | 5.3% |
2 | 0 | 0.0% |
3 | 0 | 0.0% |
4 | 12 | 63.2% |
5(高い) | 6 | 31.6% |
合計 | 19 | 100.0% |
平均 | 4.2 | – |

この類の質問は、人の心理的な傾向や評価の仕方で「3」や「4」をつける傾向が多くなります。平均値が「4」に近い(例えば3.8〜4.2程度)場合、一般的に「概ね良好な評価」と解釈できます。
評価「5(移住の満足度が高い)」の方が6名と多いのが目を引きました。
「いけず」な方がいるか?

項目 | 人数 | 割合 |
---|---|---|
1(いけず) | 0 | 0.0% |
2 | 3 | 15.8% |
3 | 3 | 15.8% |
4 | 9 | 47.4% |
5(いけずではない) | 4 | 21.1% |
合計 | 19 | 100.0% |
平均 | 3.7 | – |

前問とは逆に、評価「2」の方が多数いるのが目を引きました。
高評価の方も含めてコメントも多く寄せられました。
ネタ的な質問項目だったのですが、反響に驚きました。
コメントの紹介
良いこともそうでないことも寄せていただいたコメントを伝えたいと考えています。
とはいえ、誹謗中傷や個人名の入ったコメントは割愛、真意は曲げない程度に省略・修正して掲載しています。
移住の満足度に関するコメント
・南丹市民の人柄が総じて好き。日吉や美山で遊べる自然がいっぱい。一時期暮らしていた大阪と違って、1人1人の存在が埋もれない。おせっかいなおばちゃんがたくさんおられるのも助かっています(30代男性)
・生活の質が向上(40代女性)
・自分の望むライフスタイルに近づいた(50代女性)
・日々楽しく暮らしている。不満やケチをつけたりは、結構口に出してはいますが、ある種のガス抜きができていて、ここから出て行こうと思ったことはありません(60代男性)
・生活面において不自由さが低いのと、住環境も良く、近隣との関係もほぼ良好(60代男性)
・自然環境の良さに加え、人との繋がりが楽しい(60代男性)
・近隣住民が良い(60代男性)
・全体時に親切(60代女性)
・住みやすさは全くないが、さらなる縁者が見つかった(40代女性)
・車必須社会であったり、浄化槽等の公共料金の高さなどは、やはり大変(40代女性)
・自然が良いが、だんだんしがらみが増えてきた(40代女性)
・豊かな自然に囲まれて満足しているが、買い物などが不便(30代男性)
・概ね満足だが、Uberなどデリバリーがない(40代女性)
・移住自体には十分すぎるほど満足ですが、地域との軋轢が大きい部分もあり、苦慮することも多い(60代男性)
「いけず」な方がいるか?に関するコメント
・南丹に来てから「いけずって何?」って感じです(30代男性)
・どこにでもいけずな人はいるが、基本的には多くの方々が親切(40代女性)
・移住者を許容する風土がある(50代女性)
・色々と気にかけてくれる(60代男性)
・どこにでもあるご近所トラブル程度で、許容の範囲と思われる(60代男性)
・私自身はみなさんよくしてくれていますが、知り合いがちょっと大変そうだったりした話は聞いたことがある(40代女性)
・祭りなどみんなでやることに反対する人がいる(40代女性)
・基本はいません。でもみえてないだけでいるのかも。いけずというよりは、やさしくてダイレクトに言えない人が多い。言い換えれば、品がある。言い換えれば回りくどい。そういう意味では、京都は「会話の行間を読む」スキルが他地域より求められる場所とも言えるのかもしれません(40代女性)
・いけずを言える機智のある人間がいない。言っているつもりの人もいるが・・・(中略)・・・「いるともいないともいえない」というのが実感です(40代女性)
自由コメント
・移住してこられた方も増えて、楽しいことが増えています。ただやはり人口減少社会でどのようにこういった生活を維持していけるかは、心配事項(40代女性)
・全く縁のないところに移住。住んでみないと分からないことが多いので、移住は難しい。私はここに移住して良かったです。賃貸や売家もほとんどなく、移住希望者は居てもマッチングできない現状があり、地域の衰退が加速していて危機感を感じています。(中略)市はファミリー世帯だけでなく、単身者にもウェルカムな姿勢を見せて欲しいです(40代女性)
・移住促進の前に若者の流出を防ぐ手立てと流出の原因を考えてほしい(40代男性)
・豊かな自然環境もあり、利便性も悪くはないので移住が進む事を大いに期待(60代男性)
移住前と移住後に考えておくこと

今回のアンケートで回答を多数の方からコメントをいただきました。
その中でも最も文字量が多い方のお二方。移住希望者(移住前)、そして移住後に心にとどめておきたい。と思ったコメントを紹介します。
・(前略)これから移住を考えられている方は、「春・夏・秋・冬」✕「昼・夜」を意識してもよいと思います。
どれぐらいの田舎度を求めるのかですが、3年も暮せばあんがいなれるので、今思われている田舎度よりちょっと田舎よりがちょうどよいと思います。
あと、村単位(区)のコミニティ活動も大切です。田舎ぽさのあるコミニティ活動が残っているところをおすすめしますが、人によっては簡素化路線の村を求められるかもしれません。簡素化路線の村だと、ロケーションと利便性は田舎で、人間関係は都会ってこともありますので、自分に合ったちょうどよいところをお探しください(30代男性)
・(前略)今、地方移住に満足していても、それは長くて10年程度であり、100年続けるにはどうしたらよいかという視点で皆で考えないといけない。移住者として強く感じる(60代男性)
まとめと追記
まとめ
回答者の絶対数は多くありません。
オブラートに包まれた回答かもしれません。
また他の自治体でも同じ回答かもしれません。
ですが、南丹市への移住者の移住の満足度は「高い」です。
アンケートにご回答いただいた皆様、心より御礼申し上げます。
南丹市は2006年(平成18年)1月に合併し、約20年です。
当時の人口は36,402人から2023年(令和6年)3月には3万人を下回りました。
少子高齢化の流れもあり、人口減少は今後も進んでいきます。
今は移住して満足。今後も移住して満足。を続けていけるように当サイトも南丹市の魅力発信を続けていきます。これからもどうぞよろしくお願いします。
追記①
アンケートは継続しています。未回答の方は回答をお願いします。
※回答が蓄積したタイミングで当ページを更新・紹介します。
追記②
2025年5月に参加したシンポジウムで印象に残ったキーワードが「人口をシェアする・共有する」です。そして具体的取組の一つが居住地以外で継続的に関わる自治体を登録する「ふるさと住民登録制度」です。
今後この制度が運用された際は移住を考える・進める手がかりとして活用したい、活用していただければと思います。