令和7年度(2025年度)南丹市地域おこし協力隊の募集が4月9日(水)発表されました(11期生になります)。
公式情報は下記のリンクから確認いただきたいのですが、個人的に公式情報を読み解いて、また現役隊員だから知っている裏(?)情報をお伝えさせていただきます。
ご覧いただいた方が、南丹市の地域おこし協力隊に少しでも興味を持っていただき、また移住して隊員として活動を始める折には、早く馴染むことの一助になればと思います。
■定住促進枠
■観光振興枠

私は第9期(2023年度)の隊員で、「定住促進」の枠組みで活動しています。
「観光振興」の枠組みは2024年度から開始され、「定住促進」と活動領域が異なります。本記事は「定住促進」をベースに記載している(情報に偏りがある)ことはご了承ください。
地域おこし協力隊とは?
制度の概要
都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を異動し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組です。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年です。
総務省|地域力の創造・地方の再生|地域おこし協力隊~移住・地域活性化の仕事へのチャレンジを支援します!~
「都市地域~(中略)~住民票を異動し」となっていますが、詳細は総務省のページで「地域要件」と検索して確認をお願いします。
南丹市は「3大都市圏内 全部条件不利地域」に指定されています。
「全部条件不利地域」と「一部条件不利地域/指定都市」内の条件不利区域からの応募はNGです。言い換えると、同レベルの田舎や更なる田舎からの移住はNGということです。
なお、京都市は「3大都市圏内 一部条件不利地域」に指定のため、京都市内でも応募不可の区域があります。
労働契約の「絶対的明示事項」で比較する2つの枠組みの違い
後述しますが、南丹市の地域おこし協力隊は労働契約(雇用関係)ではなく、委嘱契約です。
そのため、労働基準法に定める「絶対的明示事項」の記載は絶対ではありませんが、比較項目として利用しました。
※観光振興枠の募集要項には「委嘱契約」の文字はありませんが、記載のない項目があるため委嘱契約と判断しました。
定住促進 | 観光振興 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|
1 | 期間 | 任期は1年以内 (任用開始は9月~) | ||
2 | 更新 | 最大3年まで延長が可能 | ||
3 | 就業の場所 | ・指定する拠点を基地として、市内全域 ・活動によっては活動エリアや団体を限定 | 市内全域 | |
4 | 従事すべき 業務 | ・定住促進と移住支援 ・地域資源を活用した起業や特産品開発等のサポート | 南丹市観光協会の事務局業務 | 【共通】情報発信 【共通】その他隊員の特性を生かした地域振興に関する活動 |
5 | 始業及び 終業の時刻 | 1月あたり 120時間 (1日当たり7時間30分の16日間相当) | ||
6 | 残業の有無 | 記載なし | ||
7 | 賃金 | ・月額233,000円 ・活動時間が120時間に満たない場合は1時間当たり1,940 円で計算 | 旅費が生じる場合は、予算の範囲内において、職員の給与等の条例に基づいて支給 | |
8 | 退職 | 記載なし |

4.従事すべき業務の違いは枠組みが違うので当然ですね。
1.期間と3.就業の場所の記載が違うのが少し気になります。
個人的には5.始業及び終業の時刻、6.残業の有無が具体的に定められていないことは気にしておいた方がいいかもしれません(定住促進の状況は後述します)。
8.退職は労働契約ではないため、記載なしで問題ありません。
南丹市の募集要項で気になったこと

従事する業務の違いを読み解く
過去の地域おこし協力隊の募集内容を南丹市役所のFacebookから抜粋して紹介します。
令和5年度はフリーミッション型、令和6年度はミッション型での募集でした。
この違いは大きいので、しっかりと理解することを推奨します。
フリーミッション型(令和5年度募集)
この南丹市を「あの南丹市」と言ってもらえるようなまちに!熱意にあふれた方のご応募お待ちしております!
■活動概要
・定住促進と移住支援
・地域資源を活用した起業や特産品開発等のサポート
・情報発信
・その他隊員の特性を活かした地域振興に関する活動
ミッション型(令和6年度募集)
【観光振興に興味のある方必見!】
観光の視点から南丹市の魅力を全国へ発信してくださる方!熱意にあふれた方のご応募をお待ちしております!
■活動概要
・南丹市観光協会連絡会の事務局業務
・情報発信
・その他隊員の特性を活かした地域振興に関する活動
フリーミッションとミッションの違い
どこかで見たことのある文章のような気もしますが・・・
ミッション型は活動内容が具体的に明記されていることが大きな特徴です(令和6年度の「事務局業務」)。
フリーミッション型は抽象的です(令和5年度の「促進、支援、起業、サポート」)。
ミッション型の良いところは、ある程度の業務の枠組みが決まっていることです。
そのため、活動開始当初から活動の方向性や中身に悩むことは少ないです。
移住して様々なことが不安な中で、仕事の枠組みが決まっていることは安心して移住ができます。
逆に言えば、活動中に「事務局業務」以外をする時間は限られます(出来ないかもしれません)。
移住当初は慣れない人間関係、日々の住まいや買物にもストレスを感じます。
そんな中で、フリーミッション型は仕事も「何をしたらいいかな?」と一人悩み考えるのは大きなストレスです。
逆に言えば、決まってしまえば自由裁量で活動できる範囲は大きく広がります。
令和7年度の募集は両方
そして令和7年度は
・フリーミッション型(令和5年度)・・・定住促進
・ミッション型(令和6年度)・・・・・・観光振興 の両方の募集です。
中に入らないとわからないのですが、フリーミッション型は地域振興課、ミッション型は商工観光課が募集をしており、案内に差異が発生しています。

フリーミッション型とミッション型のどちらを自分がやりたい。どちらが自分に向いている。という視点が大事だと思います。
活動の流れ(フリーミッション型)
管理人は前述の通り、令和5年度のフリーミッション型で活動をしています。
本章の活動の流れはフリーミッション型をベースに(管理人の過去の経験と現時点の情報を)記載しています。
5.始業及び終業の時刻、6.残業の有無の実態も本章で紹介します。
定例のタスク
毎日:グループLINEで当日の活動内容を報告(8時半迄)
┗平日は必須(お休みする場合も、その旨を共有)
┗土日祝日は活動する場合のみ(お休みの場合は不要)
月1回:月初に市の担当者と協力隊員全員でmtg(前月の活動と今後の予定を共有)

日々の時間管理は8時半の1回のみです。始業も終業も自分で決めます。
といっても、地域の会合に参加して深夜になることや土日祝にイベントのお手伝いをすることもあります。
自分の裁量で活動範囲や時間を決めているため「残業」といった概念はありません。よって、残業手当とか、深夜勤務手当などもありません。
2月:活動実績報告書(1年間の振返り報告書)の提出
3月:個人面談(翌年度の継続意思確認、活動実績報告書の内容確認)
4月:委嘱式(協力隊の任期は1年毎、年度初めに実施)
9月頃:活動報告会(卒隊する隊員を中心に、市民向けに報告)
┗2023年は9月、2024年は11月と年によって時期は変動します
┗市長や議員さんなどが参加されることもあります
輪番:広報南丹の原稿執筆(年1~2回)、Facebook/Instagramで情報発信(年2回~)
随時:日吉支所のお留守番(TEL当番)
※定住促進サポートセンターの方が外出する際に日吉支所で待機します

フリーミッション型といっても、完全に放置ではありません。
完全放置の自治体やミッション型だと企業務めと同じような管理の自治体もあるようですが、南丹市は適度に管理されます(見守ってくれます。が正しいかな)。
活動に当たっての相談やアドバイスもくれます。

募集から活動開始までの流れ
令和5年度の管理人の経験をベースに令和7年分を反映しました。
若干の変更はあると思いますが、大まかな流れはこの形になるかと思います。
5月28日迄:応募用紙(電子メール可)、誓約書、確約書の書面提出
※書類審査は資格要件の確認が主で、合否の連絡は間もなくきました
6月14日:面接(場合によっては15日も)
※JRの駅から遠いため、車を推奨します(レンタカーを京都市内で調達しました)
6月下旬:委嘱可否通知受領(採用通知のことです)
※委嘱決定を受けた場合、拒否することはできませんので注意ください
7月上旬:住居に関する案内メールを受領
7月下旬:住居の内覧
8月31日:貸与住宅への入居
※オーナーさん次第で融通が利く(入居の前倒しができる)可能性があります

住居についてです。管理人は約10件の物件を紹介いただきました。
内覧は(家主さんと)新規隊員の都合を軸に日程調整が可能でした。
当日は入居者が直前に決まったりで、最終7件を内覧して住居を決めました。
活動開始からの2ヶ月
9/1:委嘱式
┗市長から委嘱状が交付され、晴れて協力隊の一員になります
※「欠席不可、遅刻厳禁」と市の担当者から何度も念押しされました
┗ノートPC、公用車、携帯電話が支給されます(車は数日後だったかな)
9月中~下旬:集落支援員さんと市内視察
┗4名の方に5日間かけて市内を案内いただき、25名以上の方にお話しを伺いました
┗濃い5日間でしたが、この視察で地域課題の発見(活動の土台)ができました。
10月中旬:活動・ミッションについての面談
集落支援員とは・・・
地域の実情に詳しく、地域づくりに関する知見を持つ人材を、南丹市が「南丹市集
落支援員」として任用しています。
地域に密着して、住民の皆さんとともに地域の課題を掘り起こし、それぞれの実情
に応じて、集落の維持再生や活性化に向けた支援を行います。
10月中旬の活動・ミッションについての面談までに
地域にどのような課題があるのか、自分のスキルを活かして、どのような地域活性化(課題解決)がしたいかを検討する。
そして3年間の活動のもとになるミッション案とミッションに基づく3年間のロードマップやアクションプラン(具体的な活動内容)を作成する。

1ヶ月半でこの内容を決めるのは結構、大変でした。
全てを完璧にする必要はありませんし、市の担当者も親身になって相談に乗ってくれます。
フリーミッション型の楽しい部分でもあり、大変な部分でもあります。
※活動を始める前にある程度の方向性が決まっていると良いです。
報酬額・雇用形態などについて
直近の京都府内の募集要項をピックアップして一覧にしました。
報酬額だけ切り取っても様々な設定があることに驚きました。
自治体名 | 募集告知日 | 報酬額 | 雇用形態 | 活動形態 | 勤務日数 ・時間 | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|
南丹市① | ’25.4.9 | 233,000円/月 | 委嘱 | フリー型 | 120時間/月 | 勤務日の縛りなし |
南丹市② | ミッション型 | |||||
京都市 | ’24.11.26 | 188,144円/月 +期末手当(4.5ヶ月分/年) | 会計年度任用 | ミッション型 | 4日/週 8:30~17:15 | 時間外勤務手当あり |
木津川市 | ’24.6.15 | 206,170円/月 +期末手当(4.5ヶ月分/年) | 会計年度任用 | ミッション型 | 5日/週 8:30~17:00 | |
京丹波町① | ’24.6.4 | 12,000円/日 | 業務委託 ※1 | ミッション型 | 週3日~ 10:00~16:00 | 20日勤務の240,000円/月が目安 |
京丹波町② | ’24.6.4 | 240,000円/月 | 業務委託 ※1 | ミッション型 | 5日/週 7.75時間 or 40時間/週 | 宿直業務あり |
福知山市 | ’24.4.30 | 266,000円/月 | 業務委託 | ミッション型 | 140時間/月程度 | |
舞鶴市 | ’23.12.22 | 233,000円/月 | 業務委託 | フリー型 ※2 | 20日/月 7.75時間/日 |
雇用形態は大きく、雇用関係が「有り」か「無し」で別れます。
「有り」の場合は会計年度任用職員となる形態が多く、社会保険(健康保険や厚生年金)に加入し、折半負担です。副業の制限があるケースが多い(会社員に近い)。
「無し」の場合は「委嘱」、「業務委託」となり、社会保険の加入は自己で国民健康保険や国民年金に加入します(全額自己負担)。個人事業主扱いとなり、当然に雇用保険に入れませんが、副業に制限がかかることはありません。
※1京丹波町の雇用形態は「業務委託」という案内が記載されていますが、報酬の額の中に「社会保険料等の個人負担分を含む。」と記載があるため、実質的には雇用関係に近いと思われます(副業はOKの記載あり)。
活動形態は前述の通り、「ミッション型」と「フリー(ミッション)型」があります。
ここでの「フリー(ミッション)型」は南丹市に合わせて、「活動時間や場所、内容にほぼ制限のないもの」として定義しています。
自治体によっては「フリーミッション型」と言いつつ、活動時間や場所を指定しているものもあります。これらは管理人の判断で「ミッション型」と位置付けています。
※2舞鶴市の活動形態は募集要項に舞鶴市とは別に「受入事業者」の記載あります。募集要項からはフリーミッション型に見えますが、ミッション型の可能性もあります。
転居費用、生活備品、水光熱費は個人負担です。
住居の手当てや公用車の利用可、PCなどの事務用品の支給がされる自治体がほとんどです。
※防災用のパトランプ付きの公用車で移動されている他の自治体の協力隊にお会いしたことがあります。理由を聞いて納得しましたが、(悪)目立していて、驚いた経験も。

報酬額には結構なバラつきがあります。額面だけを見ると、決して恵まれた金額ではありませんが、住宅の手当てがあることの考慮は大事です。
また額面だけでなく、雇用形態や活動形態、時間単価も含めて自治体を選ばないと「雇用のミスマッチ」が発生します。
面接のアドバイス
面接の形態(令和5年の情報かつ、個人的な所感です)
人数:4人(男性3人、女性1人)
時間:30分以上(60分未満)
場所:大部屋で実施。面接官との距離がある一方、広すぎる故の困惑がありました
┗部屋に入って、椅子まで結構な距離感だったことを覚えてます
┗(多分ですが、)受験者のそんな感覚を面接官は理解していなかったかと・・・
┗ちなみに、今はこの部屋は使えないハズ
流れ:上席の方から質問を1つして、部下の方へ。1巡したら再度、上席から質問
┗次の質問は関連した(深堀り)になる場合もあれば、飛んだり、元に戻る質問も
┗1人目と3人目の方は厳しい質問、2人目と4人目の方は答えやすい質問でした
┗ちなみに、3人目の方は異動されました
概ね、「応募用紙」や「募集要項」に記載された内容に沿った質問でした。
圧迫面接を受けるわけでもなく、私の回答の意図を汲み取り、更に深掘りしてくる印象でした。
そういった意味ではきっちりと準備(面接対策)はする必要はありますが、変に身構える必要はない。面接だったと記憶しています。

質問内容
応募用紙に「動機・自己PR」、「募集要件に関する自己PR」、「協力隊として取組みたい活動やアイディア」を記載する欄があります。
面接の質問はこの項目の深堀から始まるので、ここから質問対策をしましょう。
個人的に意識したのは、フリーミッションといいつつ、全くのノープランではなく、
1.(事前に調べた自分なりの考える)市の課題
2.自分のスキル
3.それを協力隊としてどう活かしていくのか? をPRしました。
私の同期は「1.市の課題は移住してから考えます。」的な回答をしたみたいです。
「2.自分のスキル」と人間味が豊かだったので合格されたんだろうなぁと個人的に思います。
面談も和気あいあい(?)と進んで・・!?なので、必須ではありませんがスムーズな活動開始のためにもこのタイミングで考えておくことを推奨します。
後から、軌道修正をすることできます(面談での内容が全てではないです。)。
そして、3年間の任期後の仕事に関する質問がありました。
市の担当者からすると、「3年後に引っ越します」より「定住します」が嬉しいです。
「定住します」の根拠(生業)を語ることが大事だと思います。
同様に、「都会から田舎暮らしは大丈夫?家族の理解は?」という質問もありました。
協力隊の募集は「移住してもらって人口を増やす」という目的もあるので、前向きな回答を準備しましょう。
最後に
定住促進枠の募集要項の項番12.現地説明に関する記述があります。
「現地説明などを受けたい場合には、個別に現地案内や現役隊員の話を聞くことも対応可能です
ので、随時お問い合わせください。
※現地説明参加に要する旅費等については、応募者個人負担となります。」
本ページは市の担当者に確認いただきつつも、管理人(現役の協力隊員)が好き勝手に記載しています。とはいえ、文字に残す以上は無意識にオブラートに包んでいる部分もあるかと思います。
より赤裸々な情報が欲しい方はお問い合わせいただければ幸いです。
■問合せ・申込先
〒622-8651 京都府南丹市園部町小桜町 47 番地
南丹市役所地域振興部地域振興課
TEL:0771-68-0019 FAX:0771-63-0653
E-mail : chiiki@city.nantan.lg.jp
最後までご覧いただいた方だけにお伝えします。
観光振興枠の募集は1名、定住促進枠の募集は若干名となっています。
若干名って募集側は便利なキーワードですよね。担当者に教えていただきました。
0名のケースも想定しているが最大2名を考えているとのこと(だから若干名なんですね。)。
観光振興枠は募集が1名だと100%で採用です。
定住促進枠は募集が2名でも採用ゼロがありうる・・・
どっちが採用されやすいのか・・・悩みどころを間違えてます。
どっちが自分に合っているのか?その観点で選びましょう!!
もう一つ・・・
観光振興枠と定住促進枠の両方の申込みは可能です(確認済)。
┗提出書類は各枠毎に提出が必要(PRすべき項目が違うので当然です)。
┗委嘱決定(採用連絡)はどちらかの枠のみ(誓約書を出す以上、役所内で調整するとのこと)
この場合は面談は各枠毎(2回)するのか、8人(4人×2部署)の面接官になるのか?
→現時点では決まってないとのことでした。
一緒に南丹市で活動できることを楽しみにしています。